ふるまいで、ippoをつくる

ippoは、ブランドである前に「ふるまい」だと考えています。
何をつくるかよりも、どうつくるか。
どんな素材を使うかよりも、どう向き合うか。

この10の約束は、ippoという実験室の中で、
ものづくりや言葉、出会いや選び方の指針となるものです。

わたしの考え方そのものが、ものになり、言葉になり、
やがて、贈る人の手に届いていくのです。

ippoの10カ条

1. 静かに、問いを投げる。

答えを渡さず、考えることをあきらめない。
ippoは、見えていることを静かに伝えて、
そこに自分の考えをそっと添えるだけ。
どう受け取るかは、あなたの自由。
その自由を信じて、ippoはそっと扉を開き続けます。



2. 気づきの入り口を、そっと開く。

ippoは、答えを渡しません。
それは、自分で考えてほしいという静かな願いがあるから。
気づきの火が灯るのは、その人自身の中。
ippoはその瞬間を信じて、静かに寄り添います。



3. 声を荒げない。

ippoは、強い声よりも、静かな共鳴を選びます。
大きな声ではなく、心にふと触れて、残ってくれたらそれでいい。
ippoはそんなふうに、言葉を届けています。



4. できることを、できる範囲で。

いきなりじゃなくて、無理なく。大きくよりも、長く。
続かないなら、意味がない。
できることから静かに始めて、
その火を絶やさずに続けていけるかたちを選びます。



5. 変わっていくことを、劣化とは思わない。

ippoの作品は、少しずつ色が褪せていきます。
それは、劣化ではありません。
自然のものの当たり前の姿です。
くすんでいく色も、美しく年を重ねる途中の表情。
無理にとどめることに、美しさを感じていません。
ippoは、変わっていくものを静かに受けとめて
生きていきたいと願っています。



6. 迷いを大切にする。

考えることには、時間がかかっていい。
迷うということは、自分の思いや暮らし、
社会の構造と、ちゃんと向き合っているということ。
ippoはその揺れている時間ごと、
大切にしてほしいと思っています。



7. 誰かを変えようとしない。

変わるのは、自分で気づいたときだけ。
ippoは「こうすべき」とは言いません。
今ippoが見えているもの、考えていることを、
ただ静かに伝えるだけです。
気づいたなら、それはその人のタイミングと選択。
ippoは、その自由と余白を大切にしています。



8. 個性を押しつぶさない。

それぞれの、そのままを受けとめる。
ippoが使う素材には、茎が曲がったお花がたくさん混ざっています。
規格から外れただけで、美しくなくなるわけじゃない。
むしろ、そこにこそ「生きてきた跡」が刻まれているように感じます。
ものにも、人にも、かたちはいろいろあっていい。
ippoのワークショップでは、作り方は教えても、正解は教えません。
その人だけの「らしさ」に、ちゃんと拍手が届くように。



9. 社会課題を、誰かごとにしない。

「それって、わたしに関係あるかな?」から始めてみる。
社会課題は、いつか自分ごとになるかもしれないもの。
ippoは「なんとかしなきゃ」ではなく
「ちょっと考えてみようかな」を大切にします。
知ること、考えること、小さな行動を、できる範囲で。
そのまなざしが、優しい社会につながっていくと信じています。



10. 面白がることを、忘れない。

アップサイクルは、たのしくて、おもしろい。
「この素材、おもしろい」「何作ろうかな」と思える出会い。
自由に手を動かして、素材と対話して、
自分だけのかたちができあがる。
その没頭のなかにある、
ちいさな満足感やワクワクを大事にしてほしい。
ippoはそんな気持ちで、
アップサイクルの楽しさを伝えています。




それぞれの約束に、小さな物語を。

この10カ条は、ルールではなく、
“ippoのふるまい”を伝えるためのヒントです。

あなたの中に、なにかがふっと立ち上がるような、
そんな「ことばの種」になれたらと願っています。